説得の困難さ

ギャンブル依存症には、他の依存症にない大きな特徴があります。

それは、やり続けることで問題を解決できる「可能性がある」という点です。

ギャンブル依存症で本人に生じる一番大きな問題は多額の借金ですが、ギャンブルでたまたま勝ったときには借金を減らせる「可能性がある」わけです。

 

これがアルコール依存になると本人の身体的な健康を害することが一番の問題になりますが、飲み続けることで健康状態が回復する可能性は通常ありません。

覚醒剤依存の場合には加えて逮捕されるリスクも生じるわけですが、使い続けることで本人の逮捕されるリスクが減る可能性は通常ありません。

(ソーシャル)ゲーム依存の場合には、時間の浪費に伴う諸問題と課金による負債(クレジット・借金)の問題が挙げられますが、プレイし続けることで本人が失った時間・機会を取り戻せるわけではありませんし、超レアカードを引けたからといって負債を減らせる可能性は通常ありません。

 

本人が周囲の説得になかなか耳を貸さないことは依存症に共通する大きな悩みでありますが、やり続けることで問題を解決できる「可能性がある」という特徴を踏まえると、ギャンブル依存こそが最も説得が通じにくい依存症と言えるのかもしれません。

「勝って返す」というギャンブラー特有の思考も、その「可能性がある」から生じるものです。(ちなみにギャンブラーがよく口にする「負けていない」という詭弁も、ギャンブルを続ける限りはいずれ取り返せる「可能性がある」ことが根底にあるものと推測します。)

 

また経験上、ギャンブル以外の事情で膨れあがった借金を何とか返済するためにギャンブルを始めたところ、完済するまでやめられないから引くに引けなくなってしまったという事例もいくつも見ています。

 

「もはや返すためには賭け続けるしかない」という思考にとらわれている場合には、周囲から債務整理の手続きを示してあげることや勝つ以外の選択肢があることを意識させることが、借金問題の解決そしてギャンブル依存からの回復のきっかけになるかもしれません。